おことわり
私はお高くとまって見えるようですので、身辺話を書いた方が和むと思われるため、ここに書かせて頂くことに致しました。しかし、悩むのが言行不一致についてです。若い頃は多少気負って書いたこともありましたが、言うは易く行うは難し、です。これについては或る先生の思い出があります。医学部生の頃、その先生には実習ローテーションの学生が多く泣かされていました。私も胸ぐらを掴まれて喧嘩を挑まれたこともありました。もちろん、人の見方(評価)は見る視点によって善にも悪にも変わりますから、ここでその先生を悪く言うつもりもなくまた私にはその資格もありませんが、ただ、その先生が涙をさそう名随筆で日経随筆百選に選ばれたことを思い出すと、どうしても筆が止まります。もとより科学を事とする者として、賢者ならば文筆を弄ばないと思うのですが、忸怩たる思いを持ちながら書かせていただきます。